The Fool In The Valleyの雑記帳

-- 好奇心いっぱいのおじいちゃんが綴るよしなし事 --

ピタゴラスの定理

来年の都立高入試で新型コロナウイルス対応による休校で十分な授業時間が確保できていないため、中学3年で学ぶ内容の一部を除外する事が各紙で報じられ、具体的な除外対象の一つとして三平方の定理が挙げられていました
そのニュースを読んで思ったのは次のようなことです。

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上の写真は私が好きな科学史の本で、日本語のタイトルは「世界でもっとも美しい10の物理方程式」ですが原題は「The Great Equations Breakthroughs In Science from Pythagoras to Heisengberg」です。科学史上の偉大な発見として10の方程式(数式)について語られたもので、とても面白い読み物です。カバーにはそれらの数式を発見した偉人がならび、その真ん中に三角定規を持ったピタゴラスらしき人がいるのが目を引きます。ピタゴラスの定理は、その第一章「文明の礎」で語られています。
本によると、ピタゴラスの定理として一般に知られているものは、定理の発見者、発見年は不明で、バビロニアでもインドでも中国でもピタゴラスよりずっと前から知られていたようです。この定理に関して驚くことは、なんと520種類(今はそれ以上かもしれない)の証明方法が特定されているということです。それほど多くの証明を生み出すほど人を引き付ける魔力がこの定理にあるということでしょうが、なぜでしょう?その答えとして著者はこの定理が、目に見える形で応用できること、証明が理解しやすいこととともに、実際に証明することを通して真実について考え、知る喜びに親しむことができるように思えること、だと述べています。
この本の中で取り上げられている10の数式のうち、中学校レベルのものはこれだけです。数式自体は簡単ですが、一見するとどうしてそうなるの?と思えることを、キチンと知識を整理して推論する手法、さらにはそれを説明する手法を学ぶのにこれほど適した題材ないと言えるのではないでしょうか。それは教育的には非常に意味のあることです。そうしたことから、三平方の定理ピタゴラスの定理)は義務教育で教える項目の中で欠くことのできないものの一つじゃないのかと個人的には思うわけです。
時間がないから外すではなくて、時間がないけどこれだけはしっかり教えるように言って欲しいと思うのは私だけでしょうか?

下の図はユークリッドの「原論」に登場するピタゴラスの定理の証明の図です。わかったときのなるほどという感覚がいいですね。

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